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薬局薬剤師が薬や健康のことについて分かりやすく解説

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睡眠薬は依存が怖い!適正使用するために薬剤師ができることは?

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睡眠薬、抗不安薬などのベンゾジアゼピン系の薬で、規定の範囲内の量でも薬物依存になってしまうかもしれないということで通常量でも長期にわたって使用するのはやめましょうねーっていう注意喚起が少し前にありました。

正直、現場の薬局薬剤師が介入するのも難しい話ではあるかと思います。

しかし、まずはこの依存について知ることが大切!ということで今日は薬物依存について考えてみましょう!

 

薬に依存してしまう流れ

夜眠れない(入眠障害)、途中で起きてしまう(中途覚醒)、予定の時間よりも早くに目覚めてそのあと眠れない(早朝覚醒)、ちゃんと寝た感じがしない(熟眠障害)など、睡眠障害にはいろいろと種類があり、患者さんごとにもそれぞれの症状があると思います。

睡眠障害を改善するため病院へ行き、自分の症状を伝え睡眠薬を処方してもらいます。薬局で薬をもらい、それぞれの症状に合わせた薬の飲みます。眠れなかったのが不思議なくらいよく眠れるようになります。眠れない日や途中で起きてしまう度に毎回飲むようになります。

この段階で薬を飲んでる本人はこれが依存だなんて思ってないでしょうが、すでに精神的依存の状態です。

眠れないから飲まなきゃ~とか、起きっちゃったから飲まなきゃ~とかって完全に薬に頼りきってますよね。眠れない根本の原因が他にあるはずなのにその根本に向き合うのではなく薬に頼ってしまっている状態は非常に危険です。

この状態がすでに依存症であることをまずは理解しましょう!

本当に怖いのは身体的依存

上では精神的依存になるまでの話をしました。しかし本当に怖いのはここからです。

精神的依存によって、薬にたよりきって毎日繰り返し飲んでいたらどうなるでしょうか。薬は身体にとって異物なので最初は薬を飲むことによっていろいろな作用が身体に生じます。

しかし、繰り返すことによって身体が薬がある状態を普通の状態と認識してしまいます。

薬があるのが普通の状態ということは、薬を止めたら身体に異常が出ます。

この薬を止めたときに身体に出る異常を離脱症状といい、この状態になってしまうことを身体的依存といいます。

身体的依存になってしまうと薬をやめると離脱症状がでてしまい辛いのでなかなか薬を飲むのを止められなくなります。これによりさらに身体的依存が悪化してしまうといった悪循環に陥ります。もうここまできてしまうと自力で薬を止めるのは困難な状態です。

この状態にならないようにと、注意喚起が発せられました。

注意喚起の内容

厚生労働省からの注意喚起の内容は以下のようになっています。

ベンゾジアゼピン受容体作動薬を催眠鎮静薬及び抗不安薬として使用する場合は、以下の点にご注意ください。

漫然とした継続投与による長期使用を避けてください。

  • 承認用量の範囲内でも長期間服用するうちに依存が形成されることがあります。
  • 投与を継続する場合には、治療上の必要性を検討してください。

用量を遵守し、類似薬の重複処方がないことを確認してください。

  • 長期投与、高用量投与、多剤併用により依存形成のリスクが高まります。
  • 他の医療機関から類似薬が処方されていないか確認してください。

投与中止時は、漸減、隔日投与等にて慎重に減薬・中止を行ってください。

  • 急に中止すると原疾患の悪化に加え、重篤な離脱症状があらわれます。
  • 患者さんに、自己判断で中止しないよう指導してください。

 

以上の注意喚起をうけて、薬剤師としてできることは何でしょうか?考えてみましょう!

薬剤師に何ができるか

これだけ大きく取り上げられた厚生労働省からの注意喚起、薬剤師が何もしないわけにはいきませんね。薬局薬剤師の視点で何ができるのか考えたいと思います。

  • 漫然とした継続投与による長期使用を避けてください。

まず、『漫然と』って何?調べてみた。

これという目的や意識を持たず、とりとめのないさま。ぼんやり。

つまりシナールとかのビタミン剤みたいに効果もないのに継続して飲んでるのはダメですよってことみたいですね。

ってことは薬剤師としてできるのは

効果の確認&残薬確認

これをやっていく必要があると思います。まあ、今までもやらなきゃいけないことだったのでやっていたとは思いますが、改めて厳格に!という感じでしょうか。

残薬確認はこの場合コンプライアンスの善し悪しじゃないので注意してください。残薬があるということは眠れない時だけ飲んでる可能性が高いので依存度は低いです。ただ、残薬があるのにまた処方が出てる場合にはその必要性を考えて患者さんとも話をし、疑義照会や病院へのFAX等でのフィードバックで残薬調整を行うことが無駄な処方を減らすには大切だと思います。

薬の残薬に余裕があると飲む敷居が低くなる可能性もあるので、こういったところでしっかり薬剤師が関与するのが身体的依存にならないための服薬指導管理なんじゃないかと思います。

 

  • 用量を遵守し、類似薬の重複処方がないことを確認してください。

ここで一番問題視されているのは、デパス等が30日制限になったことによる倍量処方じゃないでしょうか。あきらかに倍量処方っていう処方はしっかり疑義照会しましょう。医師がそのままでって言ったらそれはもう仕方ないです。責任は医師にとってもらえばいいだけです。

類似薬の重複処方は患者があえて別の医師から出してもらうことが考えられます。それぞれの医師が知らないパターンです。これも医師が併用を知らないのであれば疑義照会すべきです。

 

  • 投与中止時は、漸減、隔日投与等にて慎重に減薬・中止を行ってください。

これは抗うつ薬などと同じ注意事項なので分かりやすいかと思います。急な中止が離脱症状を招くので急な処方OFFは患者さんに情報を聞き医師から急にやめるよう言われたかを確認。これも必要なら疑義照会しましょう。

 

最後に

今回は薬物依存と薬剤師にできることということで、現場の薬剤師がやるべきことについて個人的な意見をお話しさせていただきました。

薬物依存の内容についても触れているので少しでも参考にしていただけたら幸いです。

片頭痛の予防にビタミンB2とマグネシウムが効果的な理由とその摂り方

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身近なもので頭痛が予防できたらいいと思いませんか?

気圧の変化で頭が痛くなる、肩が凝ると頭痛も一緒にひどくなる、頭痛にはその人それぞれで原因も違えば症状の重さも違いますが、いつ症状が出るか分からないのも悩まされる要因だと思います。

今回は頭痛(片頭痛)の予防に効果のある身近な成分について紹介します。

 

頭痛について

一般的な頭痛の分類です。

一時的な頭痛

・風邪などの時に起こる頭痛

慢性的な頭痛

・片頭痛

・緊張型頭痛

・偶発頭痛

以上のように分けられます。今回はこのうちの片頭痛の予防に効果のある成分について紹介していきます。

 

片頭痛の原因

頭の血管が広がることが原因と考えられています。

セロトニン説

ストレスなどがかかりアドレナリンなどの物質が増えるとそれをコントロールしようと血小板からセロトニンが放出されて脳の血管で急激に増え、血管収縮。

→その後セロトニンが消費されて少なくなると反動により血管が拡張。

→この結果炎症が起きて頭痛となります。

セロトニンには血管を収縮する作用があります。

三叉神経説

なんらかの原因で三叉神経が刺激を受けて血管拡張を引き起こす物質などを放出。

→血管の拡張と炎症により頭痛となります。

 

ビタミンB2と片頭痛

ビタミンB2が片頭痛に効くと言われるようになったのはミトコンドリア病という病気が大きく関係しています。

ミトコンドリア病とは細胞のエネルギーを作り出しているミトコンドリアの働きが悪くなって体の機能も低下してしまう病気の総称です。

そのミトコンドリア病の患者にビタミンB2を1日1回400mgを投与すると働きが悪くなっていたミトコンドリアの機能が改善したという研究結果があり、ミトコンドリア病にはビタミンB2が有効と分かりました。

ミトコンドリア病の患者には片頭痛も患っている人も多く、この治療を続けていると片頭痛の症状も緩和されたということからさらに研究を重ね、

片頭痛の人にビタミンB2を1日1回400mg、3ヶ月間投与すると6割以上の人の片頭痛の発作頻度が半減した

ということが分かり、ビタミンB2が片頭痛の予防に有効だと分かったのです。

しかし1日400mgって多いですね。

どれくらいの量かというと・・・

鶏レバー100gに含まれているビタミンB2が1.8mgなので、22kgの鶏レバーを食べてやっと400mg摂れる計算です。(鶏さんすみません)

ちなみにビタミンB2の1日の摂取推奨量が成人男性1.6mg、成人女性で1.2mgです。

こんな量は現実的じゃない!とみんなも思ったのでその後研究が重ねられ、25mgでも予防には有効と分かってきました。

25mgならニキビや肌荒れなどで飲まれているビタミンB群のサプリメントでも補える量なので現実的ですね。

 

マグネシウムと片頭痛

マグネシウムは神経の働きを安定化させる作用があります。こちらも研究によって有効性が認められていて1日に300~600mgで有効だったとのことですが、マグネシウムは下剤にも使用されているので摂りすぎには注意が必要です。

 マグネシウムとセロトニン

マグネシウムはセロトニンとも深く関わっています。

脳内でセロトニンは上で記載した通り血管を収縮します。セロトニンが急に増えると血管が収縮して、その後セロトニンが無くなるので血管が広がり頭痛につながります。

ちょっとややこしいですが、セロトニンがマグネシウムによって生成され増えますが、急には増えないので片頭痛の引き金になるほど血管は一気には収縮しません。ストレスなどによってセロトニンが急に増えた場合に血管が収縮するので、そこでセロトニンが枯渇して血管が広がるのをセロトニンの量を増やすことによって予防します。セロトニンが枯渇しなければ血管が急に広がることもなく片頭痛の発作も起きない・・・というのが今回のマグネシウムによる予防効果です。

マグネシウムとストレス

 マグネシウムはストレスを抑える効果もあるといわれています。片頭痛の発作はストレスが引き金となることも多いので、マグネシウムがストレスを抑えて片頭痛発作を予防します。

マグネシウムとミトコンドリア

ビタミンB2と同様にミトコンドリアとマグネシウムも関わりが深いです。

ミトコンドリア内にカルシウムが増えすぎると血管収縮を引き起こします。これは片頭痛予防薬にカルシウム拮抗薬があるのを考えればわかると思いますが、このカルシウムが細胞内に入らないようにすれば血管は広がるので予防できるという考え方です。

この細胞内への出入りにはマグネシウムとカルシウムは反対の動きをするようにできているのでマグネシウムを取り入れることはカルシウムを細胞内から細胞外に出すのを助け、血管を広げることにつながります。

マグネシウムはどのくらいの量が必要?

上で研究結果より300~600mgが有効な量と説明しましたが、この量はなかなか食事からは摂れないと思うのでまずは目安として1日200mg程度摂れればいいと思います。

マグネシウムが多く含まれている食べ物・・・ひじき、こんぶ、ワカメ、納豆など。

 

まとめ

ビタミンB2とマグネシウムの片頭痛予防効果についてお話してきました。

これらは身近に存在する成分ですし、比較的手軽に補うことができると思います。まずはこれらの成分について理解して、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

この記事が頭痛との付き合い方に少しでも役に立てれば幸いです。

乳酸菌で虫歯や歯周病を防ぐ!注目のバクテリアセラピーとは?

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虫歯や歯周病の予防といえば歯みがきですよね。

その歯みがきだけでなく、最近では口腔内の環境を整えることで虫歯や歯周病を防ぐバクテリアセラピーと呼ばれる予防法が話題になってきています。

バクテリアセラピーをネットで検索すると、様々な歯医者さんがホームページで紹介しているほどなので今後注目が集まってくること間違いなしです。

今回はそのバクテリアセラピーについて簡単に紹介したいと思います。

 

バクテリアセラピーとは

予防先進国であるスウェーデンから伝わった虫歯や歯周病の予防法のことで、身体にとっていい働きをする乳酸菌などを取り入れて口腔内の細菌バランスを整えます。

スウェーデンでは80歳時点で残っている歯の平均本数は20本となっており、日本は80歳以上で歯が20本残っている人は5人に1人程度と言われているのでその差は歴然です。

では、スウェーデンの習慣を取り入れて健康な歯を手に入れるにはどうすればよいのでしょうか?

日本でも手軽に取り入れることができ、虫歯や歯周病予防の期待できる乳酸菌をいくつか紹介したいと思います。

 

口腔内のケアに有効な乳酸菌

WB2000乳酸菌

ミュータンス菌などの虫歯の原因となる菌によるバイオフィルムの形成を抑えて歯垢を着きにくくしたり、口の中のねばねばを抑えます。

歯みがき粉に配合して実際に使用した実験では、歯垢が着きにくくなり唾液が適度に出るという結果が出ました。

そのため歯磨き粉に配合されています。

WB2000乳酸菌を使用した商品例

薬用歯みがき アバンビーズ

 

L8020乳酸菌

『80歳になっても歯を20本の残す』という意味で名づけられました。

虫歯菌や歯周病菌の増殖を抑えるだけでなく、カンジダ菌の抑制も確認されています。

L8020乳酸菌を使用した商品例

ラクレッシュ L8020乳酸菌 マウスウォッシュ

 

ロイテリ菌

けんちい注目の乳酸菌です。こちらはいくつか記事にしているのでそちらも参考にしてみてください。

 

www.kenchii.xyz

www.kenchii.xyz

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ロイテリ菌は口腔内の細菌のバランスを整える働きが認められており、さらにロイテリ菌が作るロイテリンという抗生物質が虫歯菌や歯周病菌の増殖を抑えることが分かっています。

ロイテリ菌を使用した商品
  • ロイテリヨーグルト
  • ロイテリお口のサプリメント

ともにオハヨー乳業から発売されています。ロイテリ菌は口だけでなく胃や腸でも働き、ピロリ菌の働きを抑えたり乳児の夜泣きが改善するといった報告もされている今注目の乳酸菌です。

バクテリアセラピーを実践するうえで気軽に取り入れることができるので、まずは4週間を目安に摂取することから始めてみてはいかがでしょうか?

 

さいごに

バクテリアセラピーの口腔内ケアを中心に紹介してきました。

乳酸菌といえば腸内環境というイメージが強いですが、このように口腔内の細菌バランスを整えたり、さらにはアレルギーなどにも効果があると言われているため注目がどんどん集まっています。

バクテリアセラピーというと特殊な治療法のように感じますが、身近な商品や食品で取り入れることができる予防法であるため、難しく考えずに気軽に取り入れてみましょう!

【男性不妊】痛み止めの成分イブプロフェンが男性の不妊に関係してる?

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市販の解熱鎮痛剤や風邪薬などにも配合されているイブプロフェン。頭痛や生理痛で飲まれることが多いので女性が飲むイメージが強いかもしれませんが、男性も頭痛などで飲む機会は大いにあるかと思います。そんなイブプロフェンですが、『男性の不妊の原因となる可能性がある』という研究結果が示されました。

研究内容

米科学アカデミー紀要(PNAS)の発表より

イブプロフェンを投与した人→イブプロフェン群

偽薬(成分が入ってない)を投与した人→プラセボ群

6週間後・・・

男性ホルモン(テストステロン)の数値は差がない。

黄体形成ホルモン(LH)の濃度がイブプロフェン群のほうが高くなった。

 

実際に精巣からのテストステロンの分泌量を調べてみると・・・

イブプロフェン投与群でテストステロンを含む性ホルモンの分泌量が低下していた。

 

 

LHが高いということはどういうことか?

男性の生殖機能は、テストステロンなどのホルモンに大きく依存しています。

このテストステロンが産生されるのがライディッヒ細胞という場所で、LHがライディッヒ細胞を刺激することでテストステロンが産生されます。

人間の体は減ったものを補おうとする機能が備わっており、ライディッヒ細胞の働きが低下してテストステロンの量が減ると、LHの分泌を増やしてライディッヒ細胞の働きを高めます。

つまりイブプロフェンを飲んでLHが高くなるということは、イブプロフェンによってライディッヒ細胞の機能が低下してその代償にLH量が増えた可能性があります。

 

イブプロフェンは飲まないほうがいいのか?

今回の研究結果を受けて、イブプロフェンは飲まないほうがいいのか?どれくらいなら問題ないのか?など疑問が出てくるかと思います。

研究者の見解は「若い男性が短期間のみイブプロフェンを服用したのであれば男性機能に影響が出たとしても、服用を中止すれば元の状態に戻る」としているため、突発的な頭痛に対して服用したり、一時的な風邪に対して服用する分には問題はないのではないかと考えられます。

しかし、頭痛が続くので長期間飲まなければいけない場合など日常的に汎用している人は不妊のリスクも高くなると考えられるため、妊娠を望むのであれば他の成分の鎮痛薬に変えてもらうのがいいかもしれません。

 

最後に

私たちの生活において身近な存在であるイブプロフェン。

その手軽さと効果の高さから、ついつい頼ってしまいがちですが、有名な胃腸障害だけでなくその他の副作用のリスクもあるということをあたらめて認識して適切に使用することが重要です。

 

 

薬代を安くする方法を薬剤師が教えちゃいます!

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薬局で働いていると、患者さんからよく薬代が高くて大変!という言葉を聞きます。

確かに定期的や突発的に出ていくお金としては負担が大きいですよね。

同じ薬ならなるべく安く済ませたいと思ってる人も多いはずです。

では薬代を安くするにはどうすればよいか?薬剤師がそんなことを紹介するのも変な話ですが、思いつく限り紹介したいと思います。

 

薬代を安くするには 

2018年4月からの調剤報酬点数で紹介しています。

※1点=10円

安い薬局を選ぶ

まずは処方箋を持っていく薬局選びから。

薬局にはそれぞれの設備によって基本料や加算料があるため、同じ処方箋でも持っていく薬局によって全然金額が違います。

調剤基本料の違い

その薬局が特定の病院からどれくらいの割合で処方箋を受けているかで金額が決まります。つまり、病院やクリニックのすぐ近くに薬局が一つしかない場合は安い可能性が高いです。条件として月に合計2000回以上処方箋を受け付けているなど、それなりに多く処方箋を受けているか、チェーン薬局でそのチェーン全体で月に40000回以上処方箋を受けている薬局である必要があります。なので個人薬局だと調剤基本料は安くない場合が多いと思います。

他には、大学病院などの大きい病院の目の前には薬局が数多く並んでいます。そこに同じ会社の薬局が複数ある場合は、他の単独の薬局に比べて金額が安くなる可能性が高いです。(2018年の調剤報酬改定から同じ会社だと合算した受付回数になるため。)

後発医薬品体制加算を算定しているか

これはジェネリックをたくさん使用している薬局が基本料に加算できるもので、直近3か月のデータを使用するため常に変動がありますが、この加算を算定していない店舗だと安くなります。

18点、22点、26点の3段階で18点ついた場合だと3割負担で50円ほどです。毎回かかる金額だと考えると、結構大きいですよね。加算を算定しているかどうかは、受付時に聞いてみるか、電話で聞いてみる、もしくは薬局内に掲示されているはずなのでそれを確認するなどの方法で調べられます。直接聞くのはちょっと、、、薬局内の掲示物だけ見に薬局に入るのも気が引ける、、、と思いますので電話で聞くのが一番ですかね。

 

お薬手帳を持っていく

これは薬学管理料のうちの薬剤服用歴管理指導料という部分に影響してきます。

安くなる条件としては6か月以内にその薬局で薬をもらっていて、かつお薬手帳を持っていくことなので、急性疾患の場合など6か月以内に行っていなければ関係ないのですが、お薬手帳は薬の管理にはとても大事なものなので持っていくようにしましょう。

最近ではスマートフォンでもお薬手帳のアプリがあり、お薬手帳を持参している扱いにできるので便利です。

 

ジェネリック医薬品にしてもらう

薬を安くするにはジェネリックにするのが手っ取り早いです。ジェネリックは先発医薬品のだいたい半分くらいの金額に設定されているため、一番金額の差を実感しやすいです。

最近では添加物や製造工程を含めて先発医薬品と全く同じオーソライズドジェネリック(AG)も増えてきていますし、ジェネリックの品質も上がっていると思います。

ジェネリックに変えるのが不安な人はまずは薬剤師に相談してみてください。いろいろ教えてくれるはずです。

ただ、薬局としてはジェネリックにどんどん変えてもらって、上でも説明している後発医薬品体制加算の算定をしている薬局も多いと思います。なので一番いいのは後発医薬品体制加算を算定していない薬局でジェネリックに変えてもらうことですね。

 

用法を確認

用法とは、薬の飲み方です。例えば朝食後や夕食後、毎食前などです。

これと薬代がどう関係しているのかというと、薬局では調剤料というものを算定しています。これは飲み薬だったら30日分で78点、塗り薬だったら10点といったように決まっています。

処方箋で決まっているので安くしようがないかと思いますが、2種類の薬を飲んでいて1つが朝食後、もう一つが夕食後だった場合は調剤料が2つ算定されます。しかしどちらも朝食後だった場合は調剤料は1つで算定されます。

上の例で計算すると、

  • 朝食後と夕食後 78×2=156点
  • どちらも朝食後 78×1=78点

同じ薬でも78点差がでるため、約200円安くなることになります。

朝食後で飲んだほうがいい薬、夕食後で飲んだほうがいい薬、もしくは分けて飲んだほうがいい薬の場合もありますが、お医者さんに聞いてどっちに飲んでもいいという回答であれば飲むタイミングは統一してもらってもいいかもしれません。金額は安くなりますし、飲むのも楽になるはずです。

お医者さんに言いづらいときは、薬剤師に相談してみてもいいかもしれません。「夕食後の薬は飲み忘れが多いので朝食後に一緒に飲んでいる」という患者さんは結構多いです。こういった相談があれば、薬の内容によってはお医者さんに問い合わせして変更できるか聞いてみることもあります。

安くしたいから!ではなく、飲み忘れを防止したい!という気持ちで相談してみてください。

 

処方日数を増やしてもらう

たまに花粉症の薬でも14日分とかで頻繁に受診させている病院がありますが、これは99%病院が儲けるためです。

症状の安定していない場合や定期的に診る必要がある場合もありますが、安定している場合や毎年受診している花粉症の場合は30日や60日分でも問題ないと思います。

病院は初診料と再診料に分かれているので2回目は安くなりますが、薬局は同じ基本料なので変わりません。処方箋を持っていくたびに基本料がかかるので長期処方のほうが確実に安くなります。

病院が日数を決めるので薬局としては対応はできませんが、お医者さんに日程が合わなくて長期で出してほしいと伝えてみるとよいかと思います。

もし無理なら思い切って病院を変えるのも手段の一つです。

 

最後に

簡単にではありますが、処方箋の薬代を安くする方法を紹介させていただきました。

薬局毎に金額が違ったりするため最も安くするのは難しかったりもしますが、同じ薬でも薬局毎で金額が違ったり、飲み方や受診の頻度によっても金額が変わってくるので一度意識して見直してみるのもいいかと思います。

皆さんが最適な治療を受けられ、かつ薬代が節約できるきっかけになれば幸いです。

【2018年4月診療報酬、調剤報酬改定】今までとの違いを患者さんにもわかるように紹介!

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2018年4月は診療報酬、調剤報酬改定が行われます。

年々上がっている国民医療費、その医療費を削減しようと2年に1度改定が行われていますが今回の改定は製薬会社の一人負けと言われるような内容となっています。

ではどのように変わったのでしょうか。その前に診療報酬について簡単に紹介したいと思います。

 

診療報酬について

病院へ行くとお金を払いますよね。先生に診てもらって、処方箋を出してもらって、必要なら検査をしたりして、、

このときに払うお金は診療報酬によって決まっていて、病院へ行った私たちは自己負担分(0~3割)を窓口で支払います。

このうち、薬代を除いた部分が診療報酬の本体部分(基本料や技術料など)、薬代が薬価と言われていて、それぞれ2年に1回改定が行われます。

歯医者や薬局も同じで、この本体部分と薬価の合計で支払う金額が決まります。

 

2018年4月からの改定内容

今回の改定は以下のようになりました。

  • 医科+0.63%
  • 歯科+0.69%
  • 調剤+0.19%
  • 薬価▲1.36%

医科、歯科の診療報酬の本体部分がかなり上がっていますね。医療費削減と言われている中、これだけ上がるのはどうなのか?と思いますが、日本医師会が強いんでしょうね。医師の技術力を落とさず高いレベルの医療を実現するにはそれ相応の報酬が必要なんだと思います。

ではどうやって医療費削減を試みたかというと、薬価の大幅値下げです。

上の薬価▲1.36%というのは、医療費を基準に考えた数値で国民医療費全体に対して1.36%削減効果がありますよという数値です。

実際、薬価だけをみると約7%も下がるといわれています。

これは製薬会社からすると、単純に7%の売上減です。

国内大手製薬会社11社の2018年度の売上が合計2400億円程度減る見込みとなるくらい製薬会社が影響を受けます。例えば武田薬品や第一三共では300億円程度の減少額となるとのことです。

薬局も上の医療費を基準に考えた数値では+0.19%ですが、薬価の引き下げによる影響は非常に大きいです。

現在抱えている在庫が2018年4月1日に急に価値が7%下がります。

1000万円分の在庫を持っているとすると、一瞬で70万円も価値が下がってしまいます。

調剤薬局はなるべく在庫を絞っているはずです。

ここまで見てみると、歯科、歯科はプラスですが薬局や製薬会社、医薬品卸にとってはマイナスの改定ですね。

 

患者さんの負担は?

では患者さんにとってはどうでしょうか?

患者さんにとっては、医療費が安くなる場合が多くなるでしょう。

実際病院での金額はほとんど変わらないか上がると思います。

しかし薬局では薬価が下がる分、基本的には負担額も減ると考えられます。(薬価の安い薬の場合は薬価引き下げの影響が少なく、患者さんの負担額は上がる可能性が高いです。)

 

影響の大きい薬局

今回の改定で特に影響をうける薬局は、大きい病院の目の前にある薬局や医療モールのような同じ建物の中に入った薬局です。

特定の病院からの処方箋の割合が高いと、調剤基本料という調剤報酬の本体部分がかなり減点になってしまいます。

これは薬局の基本料なので、その薬局で受けるすべての処方箋に適応になります。

例えば、今まで基本料が410円だった薬局が4月からは150円になってしまうのです。

逆に患者さんからすると、薬価も下がって基本料も下がるので負担金額はかなり安くなる可能性があります。

普段行ってる薬局やその周りの薬局が基本料がどうなるのかは気にしてみてもいいかもしれません。

 

薬局の診療報酬の細かい話

ここからは少し細かい話になります。

薬局の基本料などはどう変わるのか?細かく見ていきたいと思いますが、まずは薬局の診療報酬の仕組みについて簡単に説明したいと思います。

薬局でかかるお金には薬自体の薬剤料のほかに、調剤技術料と薬学管理料というものがあります。

調剤技術料とは
  • 薬局毎に定められた調剤基本料
  • 処方箋の内容によって異なる調剤料

以上の2つに分けられ、調剤基本料は薬局毎に決まっている基本料なので一律です。その薬局の施設基準によって41点だったり25点、15点だったりします。

影響の大きい薬局の部分でも前述していますが、医療モールや大きい病院の前にあるいわゆる門前薬局では25点や15点となります。

調剤料は飲み薬や塗り薬など、薬の内容で決まっている点数です。

薬学管理料とは
  • 薬剤服用歴管理指導料
  • 必要に応じて様々な加算

薬剤服用歴管理指導料は、処方箋にしたがって調剤、飲み合わせなどを確認、薬の説明をし、それを記録に残すことで算定できます。これは薬剤師としては当たり前の業務でもあるので必ず算定します。

 

主に変更する部分

内服薬の調剤料

15日以上の処方だと1~3点減ります。

地域支援体制加算

今までは基準調剤加算という、薬局が施設基準を満たしている場合に取ることができる加算が32点でした。2018年4月からはこの基準調剤加算は廃止となり、新しく地域支援体制加算(35点)という加算が増えました。

基準調剤加算を算定していた薬局はほとんどこの地域支援体制加算を算定できるようなので、32→35点で3点増えることになります。

後発医薬品体制加算

ジェネリック医薬品を多く調剤している薬局には、後発医薬品体制加算というものを算定できるようになっています。これに関しては点数は変わらずですが、ジェネリック医薬品を調剤している割合が今までよりも多くないと算定できないようになりました。

そのため、後発医薬品体制加算を算定できない薬局が増えると思われます。

一方で今まではジェネリックの調剤割合によって18点と22点の2段階だったのですが、今回からは3段階となり、特に多くのジェネリックを調剤している薬局には26点の後発医薬品体制加算を算定できるようになったので、場合によっては今まで22点だったのが26点になり、4点増える薬局もあるかと思います。

薬学管理料

3点増えます。

~薬学管理料の仕組み~

仕組みとしては、まずはその薬局に過去6か月以内に行っているかどうか。

6か月以内に行っていないのであれば53点。

6か月以内に行っている人は、次はお薬手帳も持ってきているかどうか。

持ってきてないなら53点。

持ってきている場合は41点。

その場で手帳を作るなど、過去の薬の情報が全く分からない場合は基本的には手帳を持っていないのと同じなので53点となります。

結局どの場合でも、今までよりも3点増えることになります。

その他加算

6歳未満の乳幼児に指導した場合に算定できる乳幼児服薬指導加算が10→12点に増えるなど、いくつか変更点はありますが、こちらは対象になる患者さんも少ないため今回は省略します。

この様々な加算は薬剤師が知識等を活かして患者さんにとってより良い治療になるよう働きかけたときに算定できる加算です。国としてもこの加算はしっかり増やしていき、他の薬代や基本料などで医療費を削減しようとしているんだと思います。

今後、代表的なものから少しずつ紹介していきますね。

 

最後に

全体を見てみるとやはり薬価の引き下げが目立ちますね。薬局としてもマイナス要素が多く厳しい状況かと思います。

診療報酬、調剤報酬改定について簡単ではありますが説明させていただきました。

医療費の仕組みは難しいと思うので、内容を理解するきっかけや手助けになれれば幸いです。

ヨーグルトファーストで痩せる!?ヨーグルトを食前に食べるメリットとは?

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ヨーグルトファーストという言葉をきいたことがあるでしょうか?

腸内環境を整える代表的な食品といえばヨーグルトですね。そのヨーグルトが最近の研究では、食事の前に食べることで肥満や老化対策になることがわかってきました。

今回は、ヨーグルトを食事の前に食べることのメリットやその仕組みを紹介したいと思います。

 

ヨーグルトファーストのメリット

ヨーグルトを先に食べることで

  • シワやシミ、たるみを防ぐ
  • 血管の老化を防ぐ
  • 骨質の低下を防ぐ
  • 脂肪がつきにくくなる 

☆日経ヘルス2018年3月号より

シワやたるみ、血管の老化(動脈硬化)、骨質の低下というのは、血糖値が急に上昇するすることで体内のたんぱく質が糖によって変性(糖化)して生じます。

ヨーグルトファーストのメリットはこのようにたくさんありますが、今回は脂肪がつきにくくなるという点に絞って紹介したいと思います。 

 

ヨーグルトファーストの仕組み

ヨーグルトを先に食べることでなぜ脂肪がつきにくくなるのでしょうか。

通常、糖質を摂ると血糖値が上昇→血糖値を下げようとインスリンという物質(ホルモン)が体内から分泌されます。インスリンは細胞内に糖を取り込んで脳や筋肉のためのエネルギーに変えます。

一方、糖質を大量に摂ると血糖値が急激に上昇→インスリンも大量に分泌されます。この場合だとインスリンは糖を細胞内に取り込みエネルギーに変えるのと同時に、使い切れなかった糖を脂肪にかえて脂肪細胞に蓄積します。つまり、インスリンが多く分泌される=脂肪がつきやすくなるということです。

ヨーグルトに含まれるたんぱく質には、インスリンの分泌量を増やすGLP-1というホルモンの分泌を促す作用があります。

インスリンの分泌を増やしてしまったら結局インスリン大量分泌→脂肪蓄積のなってしまうのではないか?と考えてしまいますが、このGLP-1のすごいところは血糖値が高いときだけインスリンの分泌を増やすという点です。しかも食欲を抑える効果まであるため体重を増やすどころか痩せることも期待できます。

では、ヨーグルトを食事の前に摂るとどのような作用があるのかというと、ヨーグルト食事による糖の吸収を穏やかにすることが知られています。これは野菜や海藻を最初に食べるベジタブルファーストと同じ原理で、大人のダイエット研究所の研究結果によると、このヨーグルトファーストはベジタブルファーストと同等かそれ以上の血糖値抑制効果があったようです。こういった点からも血糖値の上昇をおさえて脂肪を蓄積させないようにします。

 

GLP-1補足

GLP-1は血糖値を下げるのを目的に糖尿病の治療薬にも応用されています。

現在は注射のみですが、毎日使用するビクトーザや週に1回使用するトルリシティなど、2型糖尿病で飲み薬だけでは血糖値をコントロールしきれないときなどに処方されています。

ちなみに、GLP-1はDPP-4という酵素で分解されてしまいます。

この分解酵素であるDPP-4を働かせないようにすればGLP-1が分解されず、インスリンの分泌を促して血糖値を下げることができます。

このDPP-4を阻害する薬が現在では糖尿病治療薬のメインとなってきており、前述したようにGLP-1は血糖値が高いときしかインスリンを分泌しない特徴があるので糖尿病治療で問題の一つとなっている低血糖の副作用が起きにくいのが最大のメリットです。

 

注意点

糖の吸収を抑えるという目的では食前にヨーグルトを食べるのがいいとされていますが、食前は胃酸が濃い状態なので食後よりも腸まで乳酸菌を届けることが難しくなります。

そのためヨーグルトをおなかの調子を整える目的で食べる場合では食後のほうがよさそうです。

 

ヨーグルトファースト、どうせ摂るならロイテリ菌

 ヨーグルトファーストで糖の吸収を抑えるのは基本的にはどのヨーグルトでもいいかと思います。

しかし、より効果を高めたい場合は糖質を使用していないヨーグルトが最適ではないでしょうか。

以前にも紹介させていただいたロイテリ菌はこのヨーグルトファーストにかなり適していると思います。

まず、砂糖は使用していません。

そして酸に強いという点も優れています。食前に食べるということは胃酸が多い状態なので、食前のヨーグルトは菌が死滅しやすく生きたまま腸に届けにくくなってしまいますが、ロイテリ菌はほかの菌よりも死滅しにくいと思われます。

以下に過去記事を紹介していますので、参考にしてみてください。

 

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