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【2018年4月診療報酬、調剤報酬改定】今までとの違いを患者さんにもわかるように紹介!

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2018年4月は診療報酬、調剤報酬改定が行われます。

年々上がっている国民医療費、その医療費を削減しようと2年に1度改定が行われていますが今回の改定は製薬会社の一人負けと言われるような内容となっています。

ではどのように変わったのでしょうか。その前に診療報酬について簡単に紹介したいと思います。

 

診療報酬について

病院へ行くとお金を払いますよね。先生に診てもらって、処方箋を出してもらって、必要なら検査をしたりして、、

このときに払うお金は診療報酬によって決まっていて、病院へ行った私たちは自己負担分(0~3割)を窓口で支払います。

このうち、薬代を除いた部分が診療報酬の本体部分(基本料や技術料など)、薬代が薬価と言われていて、それぞれ2年に1回改定が行われます。

歯医者や薬局も同じで、この本体部分と薬価の合計で支払う金額が決まります。

 

2018年4月からの改定内容

今回の改定は以下のようになりました。

  • 医科+0.63%
  • 歯科+0.69%
  • 調剤+0.19%
  • 薬価▲1.36%

医科、歯科の診療報酬の本体部分がかなり上がっていますね。医療費削減と言われている中、これだけ上がるのはどうなのか?と思いますが、日本医師会が強いんでしょうね。医師の技術力を落とさず高いレベルの医療を実現するにはそれ相応の報酬が必要なんだと思います。

ではどうやって医療費削減を試みたかというと、薬価の大幅値下げです。

上の薬価▲1.36%というのは、医療費を基準に考えた数値で国民医療費全体に対して1.36%削減効果がありますよという数値です。

実際、薬価だけをみると約7%も下がるといわれています。

これは製薬会社からすると、単純に7%の売上減です。

国内大手製薬会社11社の2018年度の売上が合計2400億円程度減る見込みとなるくらい製薬会社が影響を受けます。例えば武田薬品や第一三共では300億円程度の減少額となるとのことです。

薬局も上の医療費を基準に考えた数値では+0.19%ですが、薬価の引き下げによる影響は非常に大きいです。

現在抱えている在庫が2018年4月1日に急に価値が7%下がります。

1000万円分の在庫を持っているとすると、一瞬で70万円も価値が下がってしまいます。

調剤薬局はなるべく在庫を絞っているはずです。

ここまで見てみると、歯科、歯科はプラスですが薬局や製薬会社、医薬品卸にとってはマイナスの改定ですね。

 

患者さんの負担は?

では患者さんにとってはどうでしょうか?

患者さんにとっては、医療費が安くなる場合が多くなるでしょう。

実際病院での金額はほとんど変わらないか上がると思います。

しかし薬局では薬価が下がる分、基本的には負担額も減ると考えられます。(薬価の安い薬の場合は薬価引き下げの影響が少なく、患者さんの負担額は上がる可能性が高いです。)

 

影響の大きい薬局

今回の改定で特に影響をうける薬局は、大きい病院の目の前にある薬局や医療モールのような同じ建物の中に入った薬局です。

特定の病院からの処方箋の割合が高いと、調剤基本料という調剤報酬の本体部分がかなり減点になってしまいます。

これは薬局の基本料なので、その薬局で受けるすべての処方箋に適応になります。

例えば、今まで基本料が410円だった薬局が4月からは150円になってしまうのです。

逆に患者さんからすると、薬価も下がって基本料も下がるので負担金額はかなり安くなる可能性があります。

普段行ってる薬局やその周りの薬局が基本料がどうなるのかは気にしてみてもいいかもしれません。

 

薬局の診療報酬の細かい話

ここからは少し細かい話になります。

薬局の基本料などはどう変わるのか?細かく見ていきたいと思いますが、まずは薬局の診療報酬の仕組みについて簡単に説明したいと思います。

薬局でかかるお金には薬自体の薬剤料のほかに、調剤技術料と薬学管理料というものがあります。

調剤技術料とは
  • 薬局毎に定められた調剤基本料
  • 処方箋の内容によって異なる調剤料

以上の2つに分けられ、調剤基本料は薬局毎に決まっている基本料なので一律です。その薬局の施設基準によって41点だったり25点、15点だったりします。

影響の大きい薬局の部分でも前述していますが、医療モールや大きい病院の前にあるいわゆる門前薬局では25点や15点となります。

調剤料は飲み薬や塗り薬など、薬の内容で決まっている点数です。

薬学管理料とは
  • 薬剤服用歴管理指導料
  • 必要に応じて様々な加算

薬剤服用歴管理指導料は、処方箋にしたがって調剤、飲み合わせなどを確認、薬の説明をし、それを記録に残すことで算定できます。これは薬剤師としては当たり前の業務でもあるので必ず算定します。

 

主に変更する部分

内服薬の調剤料

15日以上の処方だと1~3点減ります。

地域支援体制加算

今までは基準調剤加算という、薬局が施設基準を満たしている場合に取ることができる加算が32点でした。2018年4月からはこの基準調剤加算は廃止となり、新しく地域支援体制加算(35点)という加算が増えました。

基準調剤加算を算定していた薬局はほとんどこの地域支援体制加算を算定できるようなので、32→35点で3点増えることになります。

後発医薬品体制加算

ジェネリック医薬品を多く調剤している薬局には、後発医薬品体制加算というものを算定できるようになっています。これに関しては点数は変わらずですが、ジェネリック医薬品を調剤している割合が今までよりも多くないと算定できないようになりました。

そのため、後発医薬品体制加算を算定できない薬局が増えると思われます。

一方で今まではジェネリックの調剤割合によって18点と22点の2段階だったのですが、今回からは3段階となり、特に多くのジェネリックを調剤している薬局には26点の後発医薬品体制加算を算定できるようになったので、場合によっては今まで22点だったのが26点になり、4点増える薬局もあるかと思います。

薬学管理料

3点増えます。

~薬学管理料の仕組み~

仕組みとしては、まずはその薬局に過去6か月以内に行っているかどうか。

6か月以内に行っていないのであれば53点。

6か月以内に行っている人は、次はお薬手帳も持ってきているかどうか。

持ってきてないなら53点。

持ってきている場合は41点。

その場で手帳を作るなど、過去の薬の情報が全く分からない場合は基本的には手帳を持っていないのと同じなので53点となります。

結局どの場合でも、今までよりも3点増えることになります。

その他加算

6歳未満の乳幼児に指導した場合に算定できる乳幼児服薬指導加算が10→12点に増えるなど、いくつか変更点はありますが、こちらは対象になる患者さんも少ないため今回は省略します。

この様々な加算は薬剤師が知識等を活かして患者さんにとってより良い治療になるよう働きかけたときに算定できる加算です。国としてもこの加算はしっかり増やしていき、他の薬代や基本料などで医療費を削減しようとしているんだと思います。

今後、代表的なものから少しずつ紹介していきますね。

 

最後に

全体を見てみるとやはり薬価の引き下げが目立ちますね。薬局としてもマイナス要素が多く厳しい状況かと思います。

診療報酬、調剤報酬改定について簡単ではありますが説明させていただきました。

医療費の仕組みは難しいと思うので、内容を理解するきっかけや手助けになれれば幸いです。