胃腸薬で血圧があがる!?高血圧の人は注意が必要かも
病院から処方される薬で、A・M散とSM配合散は制酸薬、消化酵素、生薬成分から構成される複合健胃薬です。これらは胃もたれ、食欲不振、胸やけ、吐き気などの胃腸症状に広く使用されますが、この胃薬に塩分が含まれていることをご存じでしょうか。
といっても食塩(塩化ナトリウム)が直接入ってるわけではなく、即効性の制酸作用を示す炭酸水素ナトリウムが入っています。
今回はこの炭酸水素ナトリウムを含む胃薬と塩分の関係を考えていきましょう。
制酸剤としての炭酸水素ナトリウム
炭酸水素ナトリウムを服用すると体内では以下のような反応が生じます。
NaHCO3 + HCl → NaCl + H2O + CO2
炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)と胃酸(HCl)が反応して、食塩(NaCl)と水と二酸化炭素が生成。これは胃酸の中和反応です。胃酸を中和することで胃内のpHを上げ、胸やけなどの症状を改善します。
ちなみに、CO2が生じるということはげっぷが出ますので外出時等はマナーに気を付けましょう!
炭酸水素ナトリウムの食塩換算
血圧管理などで1日6gの食塩制限などがありますが、炭酸水素ナトリウムの状態では食塩として何gなのかが分かりません。ここではその計算方法を紹介したいと思います。
- 炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)の分子量:84
- 食塩(NaCl)の分子量58.5
58.5÷84=69.6なので・・・
炭酸水素ナトリウムの量×0.7=食塩相当量
以上の式で食塩の量が計算できます。
つくしA・M配合散
つくしA・M配合散は1.3g中に炭酸水素ナトリウム600mgを含有しています。
用法・用量
通常、成人には1回1.0~1.3gを1日3回食後に経口投与する。
なお、症状に応じ適宜増量する。小児には年齢に応じて減量する。
食塩相当量
0.6g(つくしA・M配合散に含有する炭酸水素ナトリウム量)×0.7=0.42g(1包あたりの食塩相当量)
1日量にすると1.0~1.3gの食塩に相当します。
S・M配合散
S・M配合散は1.3g中に炭酸水素ナトリウム300mgを含有しています。
用法・用量
通常、成人には1回量として1.3gを毎食後に水または温湯で経口投与する。
なお、疾患、症状により適宜増減する。
食塩相当量
0.3g×0.7=0.21g(1包あたりの食塩相当量)
1日量にすると0.63gの食塩に相当します。
炭酸水素ナトリウムを含有する市販の胃腸薬
市販薬でも炭酸水素ナトリウムを含有するものがあるので、いくつか紹介します。
太田胃散 | 1.3g |
キャベジンコーワα | 0.49g |
スクラート胃腸薬 | 0.3g |
パンシロン01プラス | 0.84g |
最も有名な胃腸薬の一つ、太田胃散にはこんなにも多くの食塩が含まれているんですね。
最後に
減塩を頑張っていてもこんな意外なところで食塩を摂ってしまっては元も子もありません。食事だけではなく、医薬品も含めて総合的に考える必要があるので、こういったところにも薬剤師が介入してアドバイス等をできれば良いなと思います。