けんちい薬局

薬局薬剤師が薬や健康のことについて分かりやすく解説

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薬剤師の仕事内容を紹介するよー(調剤薬局)

薬剤師の仕事って、ちょっと前までは袋詰めの人とかって言われてましたよね。そのイメージは一般の人たちは今でも持ってるのかなって思います。「薬を用意するだけなんだから早くしてほしい」って言われることも多く、薬剤師の仕事はあまり評価されていないのを実感する日々です。

ただ、患者さんにとっては必要な薬がすぐ手に入るに越したことはないのであって、時間がかかってしまうのは私たち薬剤師の仕事の効率が悪いだけかもしれません。

今回は、不透明な薬剤師の仕事をいろんな人に広く知ってもらいたいのと、仕事の効率化のためにどんな仕事を自分たちがしているのか改めて整理することを主な目的として、薬剤師が普段どんなことをしているのかを簡単にまとめてみます。(調剤薬局での業務に限定しています)

調剤薬局での薬剤師の仕事

  1. 処方箋受付
  2. 処方箋入力
  3. 調剤
  4. 監査
  5. 投薬
  6. 薬歴

大きく分けるとこのような流れになります。会社、店舗によっては必ずしもこの順番ではなかったり、監査という手順がなかったりするかもしれませんが、今回はこの流れでひとつずつ見ていきたいと思います。

処方箋受付

持ってきていただいた処方箋をお預かりします。

  • 保険証の確認
  • お薬手帳のお預かり
  • 処方箋をざーっとみて不備がないか確認
  • 必要に応じて残薬の確認、小児なら体重聞き取り

確認し出したらきりがないですが、受付の段階で確認しておくことでその後の流れがスムーズになります。例えば、処方内容や処方箋の不備があれば患者さんに確認が必要だったり、疑義照会が必要だったりします。特に患者さんに先に話を聞きたいことのほうが多いので、患者さんが席を外される前での発見が重要になるかなと思います。受付の段階では必ずしも薬剤師がする必要はないですが、このような発見をするためにも、薬剤師が受付をする意味は大きいかと思います。

 

処方箋入力

処方せんをもとにコンピュータに入力していきます。コンピュータに入力する事で患者さんにお渡ししている帳票類(薬の説明書、薬の袋、お薬手帳のシール、領収書など)が発行されます。また、コンピュータに入力したデータをオンラインで保険請求するためにもこの入力は大切です。

この処方せん入力も、調剤事務さんがやっている店舗が多いかと思います。レセプト関連などは薬剤師よりも事務さんのほうが詳しいことも多々あるので、この処方せん入力は事務さんの腕の見せ所です。

ここでは、スピードと正確さが必要になってきます。入力が律速にならないためにも、パソコンでの入力は迅速にするのが求められます。そして、入力の間違いは危険なので絶対にしてはいけません。

 

調剤

処方せんをもとに薬を集めます。錠剤などはその数を集めればよいのであまり時間はかかりませんが、塗り薬を混ぜたり錠剤などをひとつの袋にまとめる一包化は時間がかかることがあります。これらの調剤が重なるとなかなか他に手が回らないため患者さんを待たせてしまうことにつながってしまいます。その他、お子さんの粉薬やシロップ、錠剤を半分に割ったり粉砕したりと色々なパターンがあります。

粉薬や塗り薬は予製といって、よく出る配合パターンのものは予め作っておくことができます。時間短縮のためには積極的に予製しておきたいのですが、予製で調剤する場合は調剤技術料というものが下がってしまい、薬局の儲けは少なくなってしまいます。それでも、待ち時間を短くしたほうがリピート率もあがりますし、待ち時間の長さで処方せんがキャンセルになるなどのチャンスロスも減るので、予製での調剤が結果的には薬局の利益にはなるのかなと思ってます。

 

監査

処方せんが正しく記載されているか、正しく調剤されているか、処方は適切かを確認します。

  • 処方せんの記載に不備がないか
  • 処方せん通りに正しく調剤されているか
  • 用法・用量があっているか
  • 飲み合わせは大丈夫か
  • 疾患との組み合わせで悪いものはないか
  • 重複はないか

確認事項はたくさんあるのですが、とにかく患者さんに正しく安全に薬が渡れば問題ないので、監査の段階で一からすべて確認する必要はないかと思います。

処方せんの記載の不備に関しても、正直レセプト上の不備は後に回してもいいのかなと思ってます。(声を大にしては言えませんが・・・)例えば、外用消炎鎮痛薬の貼付剤はレセプト上のコメントで1日当たりの枚数、もしくは全量が何日相当かが必要なのですが、これも患者さんには直接関係のすることではないので、この内容の確認で患者さんを待たせるのはしたくないなと思っています。 

 

投薬

 

患者さんに薬を渡す段階です。患者さんに渡す薬が適切かどうか、患者さんからの聞き取りをして判断します。そして、薬の説明をしっかりとします。この薬の説明は薬剤師それぞれの個性が出るところですね。自分は副作用も大切ですが、その処方されている薬が素晴らしい薬だよっていうのをアピールするよう心がけています。そうすれば積極的に飲むようになってくれたり、正直プラセボ効果も期待してます(笑)。

 

薬歴

患者さんとの会話の内容、薬剤師が説明した内容を記録します。薬学管理料といって、患者さんの薬の管理をしっかりしないとお金がもらえないような仕組みになっているため、この薬歴を書くことでやっとお給料がもらえるわけです。薬歴未記入で話題になった薬局がありましたが、薬歴を書かずにレセプト請求することはこの薬学管理料の不正受給といってもおかしくないので、必ず薬歴は書かなければいけません。

ただ、この薬歴を書く時間がなかなかとれないのも事実で、患者さんが来ている時間は調剤を優先しているので、必然的に薬歴は溜まってしまいます。それを閉店後に書くのは薬剤師あるあるですね。

最後に

薬剤師の仕事を簡単に紹介してきましたが、どのような印象でしょうか。早く薬をお渡しすることも重要ですが、そのためには処方内容が正しいかどうかを確認しなければいけません。ドクターも間違えることがあるので、その間違いを薬剤師が見つけています。患者さんの手に薬が渡るときにはその間違いも修正されているので、調剤室で薬剤師があわあわしながらドクターに電話していたりするのも伝わらないと思います。それでも患者さんには涼しい顔をして薬の説明をしています。こういった仕事を確実にこなしつつ、業務の効率を上げて待ち時間を短くしていくのが課題かなと思うので、これからも頑張っていきたいですね。