ファイザーが発表した喫煙率と禁煙外来について考える
医薬経済社のニュースより、ファイザーの全社員の喫煙率4.8%になったと発表されました。東京オリンピックが開催される2020年までに社内の喫煙率ゼロを目指しているそうですが・・・
まずはこの4.8%って多いんでしょうか?少ないんでしょうか?
今回はこの喫煙率や禁煙外来についてお話していきたいと思います。
全国の喫煙率
JTが毎年発表している「全国たばこ喫煙者率調査」によると以下のようになっています。
2016年
男性29.7%、女性9.7%、男女計で19.3%
(ちなみに年代別にみると男女ともに40代が一番多くなっています。)
この喫煙率をみるとファイザーの4.8%というのはかなり少ない数値となっているのがわかりますね。ところでなぜファイザーはこのような発表をしているのでしょうか。次はその理由について考えてみましょう。
ファイザーが喫煙率を公表する理由
最近はカフェやレストランなど全面禁煙のお店もかなり増え、喫煙者にとっては肩身の狭い世の中となっています。世の中が禁煙ムードなのです。そこで喫煙率がゼロの会社があるとなれば話題になり会社の宣伝、さらにイメージアップにもなるでしょう。
しかしメインの理由はやはりファイザーの禁煙補助薬、チャンピックス(バレニクリン)の宣伝ではないでしょうか。
禁煙外来のCMもよく見かけますよね。医療用医薬品の宣伝は認められていませんが、ファイザーは禁煙外来を勧めることでチャンピックスの使用につなげようとしているのはさすがだなと思いました。
禁煙外来について
どこで受けられる?
結構どこでも受けられます。内科や循環器科、心療内科などでも行っているので身の回りの病院、診療所で禁煙治療が可能です。
保険は使えるの?
条件を満たせば保険適応で治療ができます。
ニコチン依存症であることが条件なのでその判定をドクターがしてくれますが、その前に以下の条件を満たす必要があります。
●ニコチン依存症の判定テストというものをして10点中5点以上。
これはまあ問題ないでしょう。だいたい当てはまっちゃうと思います。
●<1日の平均喫煙本数> × <これまでの喫煙年数>が200以上
(35歳未満はこの条件は満たさなくても大丈夫です。)
こちらがちょっと超えづらい壁かもしれません。1日1箱(20本)吸ってる人が喫煙年数10年以上ないといけない計算です。タバコをやめたいすべての人に保険が適応になるわけではないのが残念な気がしちゃいます。
ちなみに保険適応で治療をして失敗した場合、次に保険が適応になるのは1年以上経過してからですので薬局に保険適応でチャンピックスの処方がきた場合には初回かどうかは確認すべきポイントです。
いくらくらい必要?
保険が適応できて3割負担の場合ですとだいたい13,000~20,000円とのことです。病院での診療代、薬局でのお薬代がかかります。高いか安いかは個人の感覚ですが、これで禁煙に成功した場合の本来タバコにかかっていたであろう金額と比べると一つの目安になるのではないでしょうか。
本当に禁煙できるの?
チャンピックスでの数値となりますが、80%弱の成功率っていうデータがありました。この禁煙治療で重要なのはどの段階での成功率かということ。80%弱の数値は『12週の治療期間のうち、その12週目からさかのぼって少なくとも4週間、1本もたばこを吸わなかった人の割合』となります。つまり治療の8週目~12週目に80%弱ということです。治療中でも2割くらいの人は吸ってしまうんですね。
他のデータとしては治療から1年後の禁煙成功率は30%前後のようです。思ったよりも低い気がします。せっかく禁煙外来で治療を受けたのにこれでは意味ないじゃないか!と思ってしまいますよね。12週の治療の中で5回病院に通わないといけないのですが、5回目まで通った人の1年後の成功率は50%くらいらしいのでまずはしっかり治療を終えることが重要です。
このデータからわかることは禁煙外来に通えば禁煙に成功できる!というのは甘い考えということ。禁煙には強い意志が必要で周囲の協力も大切になりますので、周りに禁煙外来をしてる方がいる人は協力してあげましょう!
どんな治療があるの?
ニコチンを含まない飲み薬のチャンピックスやニコチンパッチ製剤、ニコチンガム製剤があります。
チャンピックス以外はドラッグストアなどでも購入できるので、禁煙外来はここでもメインにお話してきたチャンピックスが基本となっているのではないかと思われます。
チャンピックスはとても特徴のある薬なので今度個別で記事にしたいと思います。
最後に
禁煙外来の概要をざっくり説明してきました。ファイザーの喫煙率がゼロになったときにどんな世の中になっているのか・・・今以上に喫煙スペースはなくなりタバコは値上げ?歩きたばこやポイ捨てが法律化してより厳しい取り締まり?いずれにしても、禁煙者と喫煙者が心地よい環境になってればいいなと思うけんちいでした。
ブログデビュー記事、最後まで読んでいただいてありがとうございました。