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コーヒーで血糖値が下がる!?カフェインと血糖値の関係

以前までは不健康なイメージが強かったカフェインですが、最近では健康にいい成分として取り上げられることも多くなってきました。

結局体に良いのでしょうか、悪いのでしょうか。そんな疑問が常にあるカフェインの効果について見ていきたいと思います。  

 

カフェインのいいところ

①覚醒効果

脳を興奮させることで眠気が覚めるなどの効果があります。テスト前などにはお世話になることが多かったですね。

②鎮痛効果

市販薬の痛み止めなどにも鎮痛補助として入ってることがあり、痛み止めの効果が認められています。特に脳血管を収縮することによって頭痛への効果が期待されています。

③ダイエット効果

基礎代謝を高めて脂肪燃焼を促進する効果があるらしい・・・これに関してはまだ研究段階なのでまだはっきりとした効果としては認められていないかもです。

④長生き

カフェインを積極的に摂る人と摂らない人では、積極的に摂る人のほうが死亡リスクが24%低かったという研究結果があります。しかしこの研究ではコーヒーや緑茶をベースに研究を進めているのでカフェインが死亡リスクを直接下げたとは言い切れないですね。緑茶のカテキンの効果かもしれませんし、コーヒーのクロロゲン酸の効果かもしれません。

⑤血糖降下作用

今回のメインテーマ。後述します。

 

カフェインの悪いところ

実はカフェインの悪いところは良いところの裏返しな面が多いです。

①覚醒効果

眠れなくなってしまいます。その効果は12時間くらい続くといわれており、お昼に摂取したカフェインの影響で寝つきが悪くなってしまったりする可能性もあるので注意が必要です。

②頭痛

良いところとして頭痛に効果があると説明したばっかりですが、カフェインによって頭痛が起きてしまうことがあります。

体質的な問題や、脳血管を収縮して痛みをとる作用のため血管が広がることで生じる片頭痛には効果的ですが緊張性の頭痛に対しては血流が悪くなってしまい頭痛が悪化してしまう可能性もあるのです。

また、片頭痛はまず血管が収縮してその反動で血管が広がることで痛みを生じると言われているので、このカフェインが血管を収縮することで片頭痛の引き金になってしまう可能性もあります。

③飲み合わせの悪い薬が多い

薬剤師としてこれは説明しておかなければいけませんね。ただ今回とメインテーマがちょっとずれてしまうので後日まとめて記事にしたいと思います。

有名なところではテオフィリン製剤との相互作用。テオフィリンとカフェインは名前も似てますよね。あれ?文字にしてみると意外と似てない・・・まあ似ているということにして、これらの成分の形もすごく似ているのでお互いに邪魔しあってしまうんですね。テオフィリンの作用が強く出てしまうと動悸などの副作用が強く出てしまうので、併用は注意となっています。

④中毒性がある

脳に作用して気分がよくなることが知られているので、カフェインを取ってないと落ち着かなくなるなど依存してしまう可能性があります。

⑤低血糖

上のメリットでは血糖降下作用としてあげましたが低血糖のリスクもあります。この後カフェインと血糖の関係について紹介します。

⑥その他

ビタミンやミネラルを消費してしまう、利尿作用があり必要以上にトイレに行く回数が増えてしまうなど、カフェインにはデメリットが多く報告されています。

 

カフェインと血糖値の関係

さて、今回のメインテーマです。タイトルで『カフェインが血糖値を下げる』と言いましたが本当にそのような効果はあるのでしょうか。

カフェインは副腎を刺激して血糖値を上昇させる

あれ?カフェインで血糖値が下がるんじゃないの?と突っ込まれそうですが、まずはここから説明させてください。

カフェインが体内に入ると副腎というところを刺激してコルチゾールなどのホルモンを分泌させます。このコルチゾールは血糖値の維持に貢献している大切なホルモンで肝臓で糖分が作られるのを促します。(糖新生といいます)

このコルチゾールがカフェインによりドバドバと放出されると・・・肝臓での糖分がたくさん作られるので血糖値が上昇しますね。これがカフェインの通常の作用と考えてください。

カフェインを摂る→副腎からコルチゾールが出る→肝臓から糖を作り出す→血糖値上昇です。

カフェインを摂りすぎると副腎が疲れてコルチゾールが出せなくなる

これが結果として血糖値の低下へとつながります。

カフェインは依存による常習性があるということもあり、つい摂りすぎてしまいがちです。カフェインによってコルチゾールを分泌し続けていた副腎ですが、さすがにそんな度々仕事させられてたら疲れてしまいますよね。これを副腎疲労といいます。

副腎の働きが悪くなってしまいコルチゾールが分泌できない→肝臓から糖を作り出せない→血糖値が下がるという流れです。

 

まとめ

『カフェインで血糖値が下がる』といいましたが、これはカフェインの摂りすぎによって血糖コントロールができなくなった結果として下がるんですね。つまり低血糖症という状態です。

ここで紹介してきたカフェインの効果をみるとあまりいいところがないような気がしちゃいます。ただ、カフェインの使い方によっては鎮痛薬として、眠気覚ましとしてなど活かすことができるので正しく適量の摂取を心がけましょう。