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コレステロール値は高いと長生きする!?

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コレステロール値は高いと体に悪いと言われています。

その中でも、LDLという悪玉コレステロール値が高いと動脈硬化の進行を早め、心疾患や脳血管疾患のリスクが高まります。

そのため基準値を上回ったら薬物治療をすぐ開始するという医師も多いです。

しかしコレステロールを下げることが本当に良いのでしょうか?

今回は『週刊女性自身』さんでコレステロールについて取り上げられていて、コレステロールに悪玉はいない!など、コレステロール値を積極的に下げずに数値が高くても良いという事が紹介されていたので、これについての意見や感想を語っていきたいと思います。

週刊女性自身 10月3日号

女性セブン、週刊女性と並ぶ女性向け週刊誌の一つです。今回はこちらのコレステロールに関する記事を参考にさせていただきました。

 

コレステロール値が高いほうが長生き!?

コレステロールは動脈硬化の原因となるため積極的に治療が行われています。

しかし、”コレステロール値が高いほうが長生きする”という説もあり、コレステロール値をめぐる論争は常に繰り広げられています。

具体的な話をすると、脂質異常症(高コレステロール血症)の基準値は以下のとおりです。

  • LDLコレステロール 140以上
  • HDLコレステロール 40未満
  • 中性脂肪 150以上

例えばLDLコレステロールが140を超えたら病気と判断→受診を勧められる→LDLコレステロールを下げる薬である『スタチン系』を中心に治療薬が処方される。という流れが多いかと思います。

これはLDLによる動脈硬化、それに次ぐ血管障害を防ぐためです。

一方、LDLコレステロールが高いと長生きすると言われるように、治療はしないほうがいいという意見もあります。

 

LDLコレステロールを下げればいいという事ではない

”悪玉コレステロール”と呼ばれるLDLコレステロールですが、肝臓から全身にコレステロールを運ぶ役割を担っています。

細胞膜の材料としてコレステロールは必要なので、肝臓で作られるコレステロールを全身に運ぶことは重要で、そこで余ったコレステロールを善玉といわれるHDLコレステロールが肝臓へ回収してくれます。

つまり、LDLコレステロールが高くてもHDLコレステロールが十分に存在すれば、動脈硬化の進行は防げると考えられるのです。

薬を飲むという事は副作用にも注意しなければいけないので、飲むメリットとデメリットを考えて、メリットが上回る治療を選択したいですね。

 

LDLコレステロールが高くても治療しなくていい状態はどんな状態?

では、どのような状態ならLDLコレステロールが基準値より高くても治療を開始しなくてよいのでしょう?

一つは、上でも紹介したようにHDLコレステロールがしっかり基準値を上回っている状態。これにより全身のコレステロールを回収してくれるので、血管壁にLDLコレステロールが留まって動脈硬化が進行してしまうのを防ぐことが期待できます。

そして、現状で動脈硬化が進行していない状態も積極的に治療はしなくてよい状態と言われています。

目安となるのは血管年齢。血管が健康であればLDLコレステロールが高くても病気と判断しない先生もいるようです。

 

重要なのは血管の健康

血管が健康という事は動脈硬化が進行していない状態という事です。

血管はポンプの働きをしているため、このポンプ機能が弱まるとコレステロールなどの異物が溜まりやすくなります。

リスク因子としては、LDLコレステロールが高い状態が長く続くということもありますが、喫煙高血圧や糖尿病の生活習慣病などが挙げられます。

これらのリスク因子がなければ、LDLコレステロールの数値が高くなったからといってすぐに治療を始める必要はないということです。

つまりは、このポンプ機能がしっかり働く血管の維持が非常に重要で、最近では”血管力”を高めることが健康だけでなく美容にも良いと言われていて注目を集めています。

けんちいの注目している成分クロロゲン酸も血管力を高めると言われているため、参考にしてみてください。

 

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薬剤師の目線

医師ではないので治療すべきか判断をする能力には欠けますが、個人的には薬による治療は優先度が低いかなと思います。

患者さんの話を聞いていると、健康診断で数値が高かったから治療開始になったというパターンが結構多いです。

そもそも、食事や運動療法をせずに即治療というのがおかしいと思います。

そういった過程を無視して即治療というのは楽をしているとしか思えません。

薬を飲んで数値が改善すれば患者さんも安心するだろう、血管障害のリスクも低下するし患者さんにとってもメリットだろう、という考えを持っている医師は結局は自分自身を守っている医師で、患者さんをコントロールしているだけです。

そうならないためにも、治療を単純に受け入れるのではなく疑問をもち質問することも患者さん側にとっては必要かもしれませんね。

 

まとめ

コレステロール値を下げるのが良いのか、そのままでもいいのか。これはずっと対立してきた意見であるため答えを出すのは難しいです。

治療の最大の目的は長く健康でいることですよね?

スタチンなどでコレステロール値を下げることが血管障害のリスクを低下させるのは研究によって分かっていますが、寿命を伸ばすということは確実には分かっていません

これは、コレステロールを下げることが他の癌や肺炎などの病気を引き起こすリスクを高める可能性があることを示すと思います。

医師から言われたから薬を飲み始めるのではなく、なぜ飲むのか、飲まないとどうなるのか、他の選択肢はないのか?など疑問に持ち、それを説明してくれる医師と出会いたいですね。