週刊誌の『薬を飲むならこの10種類だけでいい』について思うこと
多薬治療という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
その名の通り、一人の患者さんに対して、何種類もの薬を処方して治療していることを指します。
そこで、薬はなるべく少ないほうがいい!と訴えてきた医師たちが週刊ポストにて、『薬を飲むならこの10種類だけでいい』と言っているので見てみました。
週刊ポスト2017/9/29号
今回はこちらの週刊誌を読んでの意見、感想です。
週刊ポストさんは薬について取り上げることが多く、表紙にも『薬』や『副作用』などの文字が毎回並ぶほどです。
患者さんは結構週刊誌をご覧になられているので、週刊誌の内容で質問されることもごく稀ですがありますね。
そういった質問や話にすぐ対応できるよう、すべての週刊誌は難しいですが、こういった薬の事を取り上げることが多い雑誌は目を通すようにしています。
ちなみに、週刊誌を手軽に読むにはdマガジンがオススメです。
薬を飲むならこの10種類だけでいい(週刊ポスト)
簡単に紹介しながら突っ込んでいきたいと思います。
その1
- アムロジピン(1993.12)/高血圧
- ニューロタン(1998.8)/高血圧
- ニトロール(1963.1)/狭心症
- ハルシオン(1990.7)/睡眠
- ストッパエル下痢止めEX(2012.10)/下痢
- メトグルコ(2010.5 グリコランとしては1961.3)/糖尿病
- クラビット(2009.7)/感染症
- エチゾラム(1984.3)/不安
- ロキソニン(1986.7)/痛み、熱
第一印象は、成分名と商品名がバラバラ(笑)
アムロジピンは商品名だとノルバスクとアムロジンがあるから良いとして、なぜエチゾラムだけ成分名なんでしょう・・・汗
そして、古い薬が多いな~と思いました。そのため、記事には無かったですが薬の名前の横に発売年月を記載しています。
その中でも比較的新しいニューロタン(降圧薬)ですが、ARBという降圧薬の分類の中では一番古い薬ですし、メトグルコはその成分自体は、現在糖尿病治療で良く使われている内服薬の中で最も歴史の古い薬です。
その中で異彩を放っているのはストッパとクラビット。クラビットはニューキノロン系抗菌薬と言われているため、抗菌薬の中では新しいほうに分類されますが、ニューキノロン系の中では古いほうです。
ストッパは昔からありますが、このストッパエル下痢止めEXはシリーズの中では新しい市販薬になります。
このチョイスもパンチが効いていて面白いです。
全体的に古い薬が多く、強めの薬が多いですが、薬の量を減らすには強めの薬でしっかり効かせることが大事になるので主旨を抑えている10選だなと思いました。
その2
- エパデール(1999.1)/コレステロール
- ロトリガ(2013.1)/コレステロール
- クレストール(2005.4)/コレステロール
- アムロジピン(1993.12)/血圧
- フェブリク(2011.5)/痛風
- ジャディアンス(2015.2)/血糖
- フォシーガ(2014.5)/血糖
- タケキャブ(2015.2)/胃酸
- 麻黄湯/風邪
- 小青竜湯/鼻炎
こちらの第一印象は、新しい薬が多い!
ロトリガ、クレストール、フェブリク、ジャディアンス、フォシーガ、タケキャブの6つは、発売が2000年以降なので比較的新しい薬に分類できます。
アムロジピンはやはり強いですね。王者の貫禄さえ感じます。
漢方をこの中に入れるのは個人的には好きではありません。漢方はその人それぞれの体質で処方するのが原則なので、風邪の人には麻黄湯、鼻炎の人には小青竜湯といった考えはあまり共感できないです。
けんちいの考えた10選
- アムロジピン(1993.12)/血圧
- オルメテック(2004.5)/血圧
- クレストール(2005.4)/コレステロール
- エパデール(1999.1)/コレステロール
- メトグルコ(2010.5 グリコランとしては1961.3)/糖尿病
- フェブリク(2011.5)/痛風
- ザイザル(2010.12)/アレルギー
- ロキソニン(1986.7)/痛み、熱
- フロモックス(1997.6)/感染症
- プレドニン(1956.3)/アレルギー
上の週間ポストさんの記事とほとんど同じになってしまいましたが、薬剤師のけんちいが考える10選はこんな感じです。
オルメテックはその1のニューロタンと同系統のARBに分類され、そのARBの中で降圧効果が強く、他の臓器の保護作用が期待できる優れた降圧薬です。
基本はアムロジピンでよいと思いますが、腎保護が必要だったり、心保護が必要だったりする場合はオルメテックが活躍するかなと思います。
コレステロールに対しては、LDLを下げる効果の高いクレストールと、中性脂肪を下げる効果の高いフィブラート系よりも副作用等に神経質にならなくてよいエパデールを挙げました。
花粉症の辛い自分にとってザイザルは神のような薬なので、こちらも選びました。
普通の風邪では必要ないことが多いですが、溶連菌などの感染症では抗生物質が必要になるので第三世代セフェムのフロモックスを選択。
自己免疫疾患や種々のアレルギーに対して昔から使われている副腎皮質ステロイドのプレドニンも必要かなと思い選択しています。
10種類だけということで選ぶのが大変でしたが、メジャーな薬を中心に選びました。
一人の薬剤師の意見として、ふ~んって感じで見てもらえたら嬉しいです。
さいごに
今回は週刊ポストさんの記事について意見させていただきました。
薬を何種類も処方する多薬治療は、薬の種類が増えてきた今の時代だからこその課題でもあると思います。
薬が増えれば効果は出ますが、その分副作用も出やすくなってしまいます。なるべくキレのよい薬を最初から使用したり、生活習慣の改善などで薬の量を減らしていければ良いなと思うので、その手助けをできるよう頑張っていきたいです。
最後まで読んでくださってありがとうございました!